猫は、夜行性の動物として知られています。
暗い場所でも素早く動きまわる姿をみると、まるで「暗闇でも見えている」かのように感じませんか?
実は猫の目は人間とは違って、暗闇や光の中で独特の見えかたをしているのです。
今回は、猫は暗闇の中でどのように見えているのか?、猫の目の仕組みと、暗い場所ではなぜ目が光るのか?その理由について詳しく解説していきます。
猫は暗闇でも見える?
猫は人間よりもはるかに暗闇での視力に優れていますが、「完全な暗闇」のなかでは私たちと同じく何も見ることができません。
しかし少しの光がある場所ならば話は別。
猫の目には「ロッド細胞」と呼ばれる光を感じとるための細胞が多くあります。
なので人間が何も見えないと思うような薄暗い場所でも、わずかな光さえあればしっかりと周りの状況を確認することができるのです。
猫にお留守番をしてもらっているあいだ、真っ暗ではかわいそう。電気をつけておいたほうが良いのかな?と、悩む飼い主さんもいるかと思います。
しかし猫は暗闇が得意な生き物です。
これからは安心して、電気を消しておでかけしてくださいね。
明るい場所と暗い場所では見えかたが違う?
猫は暗い場所での視覚に優れている反面、明るい場所では人間ほどハッキリと見ることができません。
これは、猫の目が昼間よりも夜に適応しているためです。
さらに人間の目には「錐体細胞(すいたいさいぼう)」と呼ばれる、色を認識するための細胞が多く含まれていますが、猫はそれが少なめ。
そのため、色の見分けは苦手です。
特に赤色がうまく見えず、青や緑が少し見える程度だと言われています。
昼間のような明るい場所では、猫は形や色を正確に捉えるのが難しく、物の輪郭がぼやけて見えることもあります。
しかしその一方で、暗い場所では物の形や動きをしっかり捉えることができます。
猫は特に動くものに対して敏感で、私たちが気づかない小さな動きでもすぐに察知して反応します。
これは猫が野生で小さな獲物を捕らえるために進化してきた結果だと言われています。
猫の目が光る理由
猫の目が暗い場所で光るのは、「タペタム層」という特別な構造が関係しています。
このタペタム層は猫の目の奥にあり、光を反射する役割を持っています。
暗い場所で光が猫の目に入ると、タペタム層がその光を反射し、再び目の中に戻してあげます。
こうして猫は、少ない光でもそれを何度も活用して、暗闇のなかでも周囲の状況を確認しているのです。
そしてこの反射こそが、“目がキラリと光ってみえる”理由です。
どこまで見えているの?
猫の視力は人間とは少し違い、遠くをみたり、距離感をつかむのが苦手です。
しかしその代わりに近くのものをみるのは得意で、1~2メートル先が最もよくみえる距離だと言われています。
それ以上遠くなると、物の輪郭がぼやけてしまうようです。
そして忘れてはいけないのが、動体視力の良さ。
猫は動くものに対してはとても敏感で、例えば、小さな虫やおもちゃの動きもすぐに察知し、反応することができます。
これは野生の猫が獲物を捕らえる際に必要だった能力の名残と言えるでしょう。
また、猫の視野は広く、約200度あります。
ちなみに私たち人間の視野は約180度。
広い視野を持つことで、周囲の動きにすばやく反応できるのです。
色はどう見えている?
猫の色覚は人間とは異なり、限られた色しか識別できません。
人間の目は赤、緑、青の3つの色を識別できる「三色覚」を持っていますが、猫は「二色覚」であり、青と緑の色の範囲しか見ることができません。
そのため、赤やピンクのような色はほとんど見えず、灰色や茶色のように見えてしまうのです。
しかし猫にとって色の識別はあまり重要ではありません。
猫の目は、色よりも動きを捉える力に優れており、狩りをする時にも動きが最も重要だからです。
そのため特定の色が見えなくても、狩猟や遊びの際には全く問題なく動けるのです。
暗闇での猫の行動
野生の猫は夜に狩りをして、昼間は休むという生活をしていました。
これは夜の方が狩りのチャンスが多く、敵に見つかりにくいという理由からです。
飼い猫でもこの本能は残っており、夜になると活発に動き始めることがあります。
暗闇での視覚や聴覚、嗅覚が優れているため、夜間がいちばん活動しやすいのです。
おわりに
猫は暗闇でも優れた視覚を持っています。
完全に真っ暗な場所だと難しいですが、少しの光さえあれば、その光を何度も活用することで暗い場所でもはっきりと周りを見渡すことができます。
これは、猫の目の「ロッド細胞」や「タペタム層」が大きく関係しています。
また、猫は明るい場所では細かい色や形を見るのが苦手でも、動くものや暗い場所では非常に敏感に反応します。
視野も広く、夜や薄暗い場所での行動に特化していることから、猫の夜行性の習性も理解できます。
こうして猫の目は、暗闇での生活に適応しながら少しずつ進化してきました。
猫の視覚について理解すると、その行動や習性も納得できますね。